日本共産党が参院選の結果を左右する?――1人区の情勢報道が示す野党の限界
7月20日投開票の参院選は与党の苦戦が伝えられている。衆院選や東京都議選と異なり、都道府県単位の小中選挙区と全国単位の比例区で構成される参院選は、マス・メディアの情勢調査による予測は外れにくいため、非改選を含め過半数に届かない可能性があるというのは本当だろう[1]。
与党が参院過半数を維持するためには、非改選で有する75議席に加えて今回参院選で50議席を獲得すれば足りる。これに届かないということは、前回から25以上の議席を落とす可能性があるということを示す。
情勢報道では参政党の「躍進」に注目が集まったが、各社の報道の詳細を読む限り、この与野党の議席変化が集中しているのは1人区である。前回2022年の参院選で自民党と公明党の与党は、32の1人区のうち28選挙区で勝利した。これが今回の情勢予測では、与野党拮抗どころか野党が優勢と報じられているのである。
この野党の1人区における攻勢を読み解く際に重要なのが共産党の戦略である。参院選を前に日本共産党は、1人区の立憲民主党候補に対して自党の公認候補を引き下げる方針を示し、即座に福島選挙区、鹿児島選挙区での候補擁立を取り下げた。元々候補を擁立していなかった選挙区も含め、多くの選挙区で立憲民主党や野党系無所属候補を事実上支援することとなったのである。
共産党候補が出馬しないことによって立憲民主党の候補が恩恵を受けることは、筆者の分析でもこれまで何度か示してきた[2]。今回の参院選も、情勢報道の時点でその効果が明確となっている。以下、簡単に報告したい。
共産党不出馬区に集中する野党優勢1人区
図表1は、7月8日までに発表された主要4紙の1人区の情勢報道で、与野党どちらが優勢となっているのかを共産党候補の有無別にまとめたものである。各選挙区の情勢の詳細は国会議員白書の「2025年参議院議員選挙 選挙区情勢(結果予測)と情報のまとめ」を参照されたい。