強い立憲民主党と弱い国民民主党
――衆院小選挙区の結果から参院1人区を考察する【2024年衆院選分析】

2024年衆院選の与野党逆転は立憲民主党が小選挙区で議席を伸ばしたことで達成された。一方、選挙後「躍進」したとされた国民民主党は小選挙区では弱かった。この両党の小選挙区の結果を比較することで、今夏の参院選の1人区について簡単に展望する。
菅原琢 2025.05.18
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 参議院の選挙制度はさまざまな定数の選挙区と比例区により構成されているが、結果の主要部分は1人区(小選挙区)によって決まる。昨年の衆院選で与党を過半数割れに追い込んだ野党にとって、今夏の参院選での勝利は政権交代に不可欠だが、そのためには当然、小選挙区での戦い方が重要となる。

 2024年衆院選で与野党逆転となったのは、主に小選挙区で立憲民主党が伸長したことによるものである。共産党が候補を大幅に増やし、前回から共闘の効果が減ったという悪条件の中で立憲民主党は戦った。しかし、同党の候補の得票率を維持しつつ、議席を大幅に増やすことに成功した。

 一方、国民民主党は2024年衆院選の勝者のように認識されているが、小選挙区の結果は選挙後の注目とは不釣り合いに芳しくはなかった。以前の記事で示したように、同党は当選者を6から11へと倍近く増やしたが、候補者数もほぼ倍となっており、候補の当選率や得票率はやや低下していたのである。

 そこで今回は、立憲民主党と国民民主党の小選挙区の結果について比較し、その特徴を示していく。先に基本的なデータを確認した後、両党の候補者の得票分布や比例票との比較からその集票力について考察し、最後に参院選の1人区の野党の現状について簡単に述べていきたい。今回の分析が、今後に向けての両党の戦略の適切さを評価し、参院選1人区を展望する上で参考となれば思う。

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  • 対照的な立憲民主党と国民民主党の小選挙区の選挙結果
  • 国民民主党候補の集票力格差
  • 国民民主党候補は立憲民主党の票を集められなかった?
  • 二極化している国民民主党候補
  • 弱い国民民主党候補は参院1人区を勝てるのか?

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