国民民主党=東京を克服した民社党?――都道府県別得票率の相似と相違
最近、国民民主党は民社党だっていう主張をよく聞きます。高齢の新聞記者や評論家の方々がコラムやシンポジウムでそう主張していたりしますよね。
筆者自身も、国民民主党は民社党っぽいなと思うところはあります。ただ、民社党が国政選挙に登場したのは1993年衆院選が最後のため、これがどんな政党だったのか知っているのはやはり高齢者ばかりでしょう。「国民民主党は民社党っぽいよね」と指摘したとしても、国民民主党を支持している比較的若い層にとっては「???」となるだけですから、国民民主党をわざわざ民社党になぞらえるのは無駄というものです。
それに、国民民主党が民社党だとみなすのは印象論に過ぎません。民社党が新進党に合流して消滅した後、その潮流が今の国民民主党に残っているとは言えますが、民社党公認で当選した国会議員は1人も残っていません。民社党を支持していた旧同盟系労組が国民民主党を支持しているとされていますが、 “旧”同盟になって40年近く経過し、組合同士の合併や企業、産業の消長で労組の勢力もかなり変化していますから、単純に同一視できるものではありません。
そこで本稿では、国民民主党がどれくらい民社党なのかをデータで確認してみたいと思います。具体的には、都道府県別の得票率から、民社党の特徴がどれだけ国民民主党に受け継がれているのか観察していきます。これにより、「むかし偉かったらしい人」の印象論を超えた、選挙結果=有権者レベルの根拠で民社・国民民主両党の相関を示すことが本稿の目的になります。
あまり似ていない? 民社党と国民民主党の都道府県別比例区得票率
図表1は1992年参院選での民社党の都道府県別比例区得票率と、2022年参院選、2024年衆院選での国民民主党の都道府県別比例区得票率との関係を見た散布図です。